SUMMER STRUGGLE in JINGU 2020年8月29日 東京・明治神宮野球場 全試合
興奮が止まらねえ!すげえもの見たぜ令和に俺たちはよぉ!?
コロナとオリンピック延期という想定外の事態により、21年振りの開催となった神宮球場での興行。過去動画見たけどニタがヤバかった。
キャパが最大5000人かつ昨今の異常な気温のせいで盛り上がりに欠けるのではと思う人も少なくなかっただろうが、実際終わってみれば最高にアツい試合の数々だった。
この興奮が身体に残っている内に感想を書いておこうと思う。
第1試合 旅にトラブルはつきもの
スペシャルシングルマッチとしてワトさんが神宮に立つ!相手はヒールマスター金丸。
ワトさんとしてはここで壁を乗り越え来年のドームやBOSJへのアピールをしておきたいところだろう。
暑さに負けず普段以上のパフォーマンスを発揮するワトさん。これまで何度か拳を合わせる機会もあったし、奥義のウィスキーミストが使えない金丸なんて怖くない!
……なんて油断をしていたのだろう。ダウンした金丸にトドメを刺そうとその手を握った瞬間まさかの丸め込み!
無常なる3カウントにワトさんも天山も頭を抱える。まさかこんな大舞台で反則技ではなくこんな一発逆転技を持ってくるとは思ってなかったのだろう。
とは言えこんな大舞台でも全く動じずシングルマッチをやり遂げたワトさんにはやはり期待しかない。グランドマスターへの旅はまだまだ続く!
第2試合 それがやりたかっただけだろ
次はKOPW決勝戦。4人バラバラで闘う4wayだが新日だとめちゃくちゃ久しぶりじゃないか?
タッグ戦と違い漁夫の利狙いが有効だがあまり潜伏しすぎると試合が冷える可能性もあるためなかなか難しい試合形式だが、この試合は全員の個性が遺憾なく発揮されていてよかったと思う。
1人だけ体重差があるため極力消耗を避けおいしいところを持っていこうとするデスペ。ケツを見せればオカダだろうとすぐ丸め込もうとする矢野。なんとなく居心地悪そうなSANADA。KOPWが割と好評なおかげかめっちゃ楽しそうなオカダ。
普段見ることができないエモいポイントが大量にあったのもいい。始まってみれば共通の敵排除のためデスペやオカダと手を組むSANADAはもうずるいね。特にオカダとの合体攻撃は仮面ライダーの映画を見ているようで思わず叫んでしまった。
あとオカダを軽々持ち上げ投げ切ったデスペのパワーにも驚きだ。ヒロム同様ヘビーとの闘いを経て成長しているのがわかる。
試合は当然のごとく金的を使った矢野が終わらせ王者となったが、真っ先にリベンジを宣言するなどやる気十分。燻る機関の多かったデスペの新たな姿が見れそうだ。
あと金的で終幕って流れ、EVILへの当てつけのようにも感じたけど考えすぎかな……。
第3試合 ドラゴン狩り
続いては王様と鷹木による見なくてもどんなゴツゴツ試合か想像しやすい漢臭いシングルマッチ。
こないだ現地で見た永田との一戦もすごかったがこの試合もやはり期待通り、いや期待以上の内容だった。
打撃の重さはどうしても王様に分があることを理解している鷹木は打撃に付き合いながらも強烈な瞬発力で翻弄する。
対する王様は想像以上に『美味しい獲物』だった鷹木の一発一発をヤバい笑顔で堪能している。この2人……噛み合ってる!
だが王様のフィールドであるエルボー合戦に付き合ってしまったダメージからか、4度目のスリーパーからのゴッチ式パイルドラーバーで鷹木は沈んでしまう。
こうしてNEVERのベルトは王様の手に渡ってしまったのだが、果たしてどんな防衛ロードを築く予定なのだろうか?
この次の日別団体で試合の予定を入れるなど相変わらず闘いに飢えている王様だが……まさかベルトを餌に各団体の『美味しい獲物』を一本釣りしようと考えているのでは……。
第4試合 石森・リボーン
内藤EVIL同様に因縁が続くヒロムと石森。ジュニアの至宝とプライドを賭けた激突は神宮のベストバウトと言い切れる。
相変わらずブレーキがぶっ壊れているヒロムだが、石森はその無茶に付き合うように見せて冷静に捌いていく。
勢いに飲まれそうになったら一連の抗争でダメージが蓄積しているヒロムの左肩を責めて流れをリセット。身体も試合の組み立ても芸術品だ。
古傷を狙うのはレスラーなら当たり前。余計な介入もしなかった。どちらかといえばヒロム派の自分から見ても文句なしの決着だ。
愛するベルトさんを奪われたヒロムはしばらく雌伏の時になりそうだ。
第5試合 神宮は鈴木軍が頑張りすぎです
徐々に日が落ち神宮を闇が包み始めた頃始まったこの試合。あまりにタイミングがよすぎるタイチのダークな入場と神宮球場がシンクロに嫌な胸騒ぎがしていたが……。
やはりタッグはよほど波長が合う者同士でない限り齟齬が起こるものだろう。過去最高に仕上げてきたはずのゴールデンエースにもそれが見えた。
対するタイチとザックは非常にリカバリーが上手い。どちらかに託しすぎることなく何かあればすぐ助けに入れるよう常にアンテナを張っている。
強すぎる責任と自信がゴールデンエースの弱点だったのだろう。背中を預ける存在としては最高でも、横並びになった時相手を信頼しすぎてしまうが故に大きな隙が生まれてしまう。
敗北という結果を受けゴールデンエースは解散。『死神』という汚名をタイチに押し付けられて背負った飯伏が次に見るものは新たなパートナーか、それともシングル戦線か。
第6試合 白黒はっきりさせましょう
EVILの動きは衝撃的であり、そのなりふり構わない反則や介入と反則にクソ甘いレフェリーはロスインゴファンだけではなく新日本ファン全体のヘイトを買っていた。
闇が強まれば強まるほど、光はその輝きを増す。本来は輝きとは遠い場所にいたはずの男、内藤の肩に元気玉のようなファンの願いがのしかかる。
暗闇の中でも目立つ白いスーツで入場する内藤。逆に神宮の照明を落とし闇を呼び込むEVIL。もはやヒーローショーの空気だ。
しかし何度見てもバレクラEVILは反則技と介入が増えただけで根っこのプロレスはどストレートなのが不思議だ。
それも一つの流儀ではあると思うが、しっくり来ないというか、弱点にも繋がるその部分を変えないのはヤバいと思っていた。
何故なら内藤はそんなEVILを全て知っているからだ。それもヤングライオンだった頃から。
こんな大舞台で対策せず挑んでくるとは思っていないだろうに、この日もEVILのプロレス自体は武骨で真っすぐだった。先制ホームランはしたけど。
勝手な妄想だが、EVILは自分のプロレススタイルに愛情を持っていたのではないだろうか。
そしてそれを貫くも結果が出ず悩むEVILにチームメイトはスタイルの変更を勧めたのだろう。「ロスインゴは腐っている」発言はここから来たと考えればしっくりくるし、基本スタイルを変えない理由にもなる。
かつてのチームメイトをEVILのプロレス+αで倒し続けることが今のEVILの存在理由。負けは許されずブーイングを飛ばされるいばらの道……。
だけど内藤にはそんなこと関係ないもんねー!!
目には目を、介入には介入を!この日まで温めていたロスインゴ介入が炸裂!こういう時顔を出さないことでお馴染みのSANADAまで駆り出される緊急事態に観客の興奮も最高潮!
東郷と外道は排除され、20分を超える激闘と治まらぬ熱波に2人はふらふらでいつ倒れてもおかしくない。だがちょいちょい技ミスってて怖かったけど殺人ビンタからのデスティーノで内藤が勝利をもぎ取った!
待ってた!全てのモヤモヤが晴れるこの展開を!そんな観客の心情を代弁するかのように夜空で炸裂する満開の花火。週プロの表紙素材を提供するプロレス会社の鑑。
いやー長かった。コロナよりこっちにムカついてた人もこれでひとまず溜飲は下がっただろう。
だがEVILはこれからどうするのだろうか。元々勝っても負けても不安定な立場だったとはいえ、今回の敗北は結構シャレにならないぞ。
『介入と反則をしないと正面からやっても内藤に勝てない』というイメージの払拭は並大抵の努力では叶わない。今後のブーイングの質も変わってくる可能性もある。
内藤はこの試合で逆転という主人公性を完全にモノにしたが、対するEVILはアンチロスインゴとして悪の華をこれから咲かせることができるのだろうか……心配だ。
ともかく今は、野外で猛暑というよろしくないコンディションで闘い抜いたレスラー達に心から拍手を。
内藤の主人公度:★★★★★
EVILはこれからどうするのか度:★★★★
ハッピーエン度:★★★★★